ヤマサ醤油株式会社では、近年家庭における醤油の消費量が減少している中、昨年8月に開封後も70日間鮮度を保つ「ヤマサ 鮮度の一滴 特選しょうゆ」を発売し、大変ご好評をいただきました。これを機に、現代人の醤油に対する意識や実態を明らかにするべく、首都圏在住の20代~50代の男女824人を対象に、「醤油に関する意識調査」を実施いたしました。
この調査の結果、醤油は様々な調味料の中でも、特に食卓に欠かせないと支持されていることが分かりました。一方で、醤油の酸化について知らない人も多く、日本人に欠かせない、料理の味を左右する大事なものとされながらも、醤油の酸化や正しい保存方法が十分に知られていないという事実が浮き彫りとなりました。
以下にて調査結果及び、醤油ソムリエとして全国の蔵元を飛び回る高橋万太郎氏からのコメントをご紹介いたします。
<調査概要>
■表題:醤油に関する意識調査
■調査主体:ヤマサ醤油株式会社
■調査期間:2010年2月12日(金)~14日(日)
■対象者:首都圏の20代~50代の男女/サンプル数:824名(全属性を103名ずつ均等割付)
■調査方法:アンケート調査(インターネット調査による)
※各図の中の(SA)は選択肢から1つを選択する回答形式、
(MA)は選択肢から複数の選択を可能にする回答形式を表しています。
※各図のnは、その設問への回答者数を表しています。
※数値は小数第2位を四捨五入しています。
1.欠かせない調味料、醤油が第1位。一方、保存には意識がいかず?
・欠かせないと思う調味料、「塩(86.2%)」や「砂糖(67.8%)」を抜いて、「醤油」が95.8%で1位に。
・欠かせないと思いつつも、保存には意識がいかず?「醤油の正しい保存方法がわからない」71.3%
家庭内にいろいろとある調味料ですが、「欠かせないと思う調味料は」と聞いたところ、95.8%が「醤油」と回答し、「塩(86.2%)」、「砂糖(67.8%)」を大きく上回り、醤油が食卓に欠かせない調味料No.1という結果になりました(図1)。
一方で、「醤油の正しい保存方法がわからない」と答えた人は、71.3%にのぼり、欠かせないと思いつつも、醤油の保存に対しては意識が行き届いていないという結果も浮き彫りとなりました。また、世代別で見ると、20代、30代では、ともに76.7%、40代では65.4%、50代では66.6%という結果になり、若い世代ほど保存に対する意識が低いという結果になりました(図2)。
3.醤油は家族への愛情の証?家族がいると「味」を重視、1人暮らしは「安さ」を重視
・醤油を選ぶ際、重視するポイント、2人以上の世帯では「味」を重視(73.7%)、1人暮らしは「安さ」を重視(66.7%)。
「醤油を選ぶ際、重視するポイントは何ですか」という質問では、世帯人数によって異なる傾向が見られました。2人以上同居の世帯では、73.7%で「味」が1位、1人暮らしの世帯では、「値段の安さ」が66.7%で1位となり、家族がいる世帯では値段の安さよりも味を重視する傾向にあることが明らかになりました(図8)。長引く不況で節約志向となっている中でも、家族がいることで「より美味しいものを食べさせてあげたい」という気持ちが働き、醤油を選ぶ基準が変わってくるのかもしれません。
4.大人の男は醤油にこだわる!? 「醤油にこだわりを持っている」50代男性が1位
・「醤油に対して自分なりのこだわりを持っている」は50代男性が67.0%で最も高く。
・味にこだわる50代、醤油を選ぶポイント「味」重視は50代男性が1位の79.6%
・更に開封後の味の変化にも敏感?「使い終わりの醤油は味が落ちていると感じる」も50代男性が66.0%で1位。
・大人な男は醤油も高級志向か、400円以上の醤油の購入率は50代男性が最も高く34.7%
「醤油に対して自分なりのこだわりをもっているか」の質問では、全体の55.5%が「こだわりがある」と回答しました(図9)。性別・世代別で見ると、50代男性が67.0%と、こだわりを持っている人の割合が特に多いという結果になりました(図10)。
そこで、こだわり派である50代男性に注目したところ、醤油を選ぶ際に「味」を重視している割合が79.6%と、こちらも全世代の中で最も高いという結果に(図11)。更に、「開封したての醤油より、使い終わりの醤油の方が味が落ちている」と感じる人の割合も全世代間で1位で、50代男性は、味や醤油の酸化にも敏感だということが伺えます(図12)。
また、普段購入している醤油の価格を尋ねたところ、「400円以上」と答えた人の割合も、50代男性が一番多いという結果になりました(図13)。50代男性は多少値段が高くとも、「味」や「鮮度」など自分のこだわりを優先している傾向が伺えます。
5.その他のトピックス
・やっぱりみんな醤油が好き!98.7%が「醤油が好き」と回答
「醤油は好きですか」と聞いたところ、98.7%が「好き」と回答(図14)。醤油は欠かせない調味料であり、やっぱりみんな醤油が好き。これぞまさしく、キング・オブ・調味料!
・醤油が恋しくなる瞬間は?
醤油が恋しくなる瞬間を聞いたところ、1位は「お刺身や焼き魚など魚料理を食べる時」、2位は「甘いものを食べた後」、3位は「海外に行った時」という結果になりました(表1)。
いつも身近にある醤油ですが、結果を見てみると誰しもが感じたことがある瞬間ではないでしょうか。
・醤油の「封を開けたらできるだけ早く使い切りたい」と75.6%が回答。しかし、使い切りたいと思っている方でも、「賞味期限の切れた醤油を使うことがある」が59.7%
開封後は「できるだけ早く使い切りたい(75.6%)」 と回答した人でも(図15)、「賞味期限が切れた醤油を使うことがある」と答えた人が6割もいることが判明しました(図16)。醤油は保存食品のイメージが強く、いつまで使うことができるのかわからない人も少なくないようです。
食卓に欠かせない調味料として「醤油」と答えた方の割合は95.8%という調査結果から、改めて「醤油は日本人にとって、切っても切り離せない調味料だ!」と実感でき、大変嬉しく感じています。ただ、日本人に最も欠かせない調味料と認めつつも、古くなり味が劣化しても使い続けている方があまりに多いことに、少し寂しさを感じてしまいました。
新しい醤油を購入された際に、それまで使っていた醤油と比較していただくと一目瞭然なのですが、開封したばかりの醤油は「綺麗な赤褐色」で、開封後、時間の経過したものは「どろっとした黒色」になっています。これは、醤油が空気に触れることにより「酸化」が進んだ結果なのですが、醤油の特徴である「綺麗な赤褐色」「風味高い香り」「コクのある味」全てが劣化してしまっているのです。 同じ銘柄の醤油でも酸化する前と後では、全くの別物に感じられるほどの違いがあります。特に直接つけたりかけたりしてお使いいただく際の違いは、歴然です。少し意識していただくだけで美味しい醤油を味わえるのに、「なんてもったいない!」と感じずにはいられません・・・
酸化への対策としては、空気との接触面積を少なくすることと、保管温度を低くすることによって酸化の進行を遅らせることができますので、開封後は冷蔵庫での保存をお薦めしています。また、小さな瓶などに小分けし、醤油を満杯近くまで入れておくことも、容器内の空気量が少なくなりますので効果があります。ただ、あくまで酸化の進行を遅らせる効果であって、酸化を完全に止められるわけではありません。開封後は1ヶ月を目安に使いきっていただき、その期間に使いきれなかったものに関しては、煮物など熱を通す調理にお使いいただくとよいと思います。
美味しい醤油は素材の味をぐっと引き立てます。日常生活に当たり前のように存在する醤油だからこそ、その鮮度を意識いただくことが、美味しく醤油を召し上がっていただくポイントだと考えます。
醤油ソムリエ 高橋 万太郎氏
(略歴)
1980年群馬県前橋市出身。立命館大学卒業後、(株)キーエンス入社。
精密光学機器の営業に従事し、ブルーレイディスク・液晶テレビ・燃料電池などの2003~06年当時の先端技術開発に関わる。
2007年に退職、(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。
現在は「職人醤油.com」を運営し職人仕立ての醤油の普及に取り組む。