パリに移り住み、カラーメゾチントという技法を開拓した陽三は、卓越した技術によって印象的な色彩の名作を次々と生み出し、世界中の人々を魅了しました。
この秋の展覧会では、陽三の得意とした身近な果物の作品を中心に展示します。
銅版に刻まれた静物たちは、まるで地上のものではないような澄みきった色彩を帯びて輝きます。ルビーより鮮やかなさくらんぼ、消えかかる月のようなレモン、薄い光で透き通ってしまいそうな蝶。見慣れた形を持つこれらの小さなものたちが、静けさの支配する闇に浮かんで不思議な詩情を奏でます。
「パリの屋根」「くるみ」などの代表作のほか、カラーメゾチントの4枚の原版や、陽三の使っていた道具類も出品します。どこまでも静かな銅版画の魅力をお楽しみください。
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