このたびミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、2004年12月1日に没した銅版画家・南桂子を偲び、南桂子追悼展を開催致します。 南桂子は浜口陽三と出会って銅版画に魅了され、浜口と人生をともに過ごすようになった後も詩情豊かな作品を生涯にわたって制作しました。 1911年 富山県高岡市に生まれた南は、女学校在学中より歌や詩をつくり、絵を描きました。上京後は、壺井栄に師事して童話を書き、54年フランスで銅版画の才能を開花させます。作品には、鳥や少女に姿をかえた南桂子が、みずからの喜びや悲しみを静かにみつめているように描かれています。 本展覧会では、技法を学んだフリードランデル版画工房(フランス)で制作した、初期作品を展示します。この初期作品群は、その後の南の作画を決定づける原点といえるもので、夢と詩があふれています。 このほか57年にニューヨーク近代美術館のクリスマスカードになった作品「羊飼いの少女」や、58年にユニセフのグリーティングカードに選ばれた「平和の木」、同じく66年にユニセフのカレンダーになった「子供と花束と犬」など、銅版画作品約60点を展示。また、色あざやかな点画ドローイング作品等約30点も展示します。国際的に高く評価されたメルヘンで叙情的な銅版画作品やイメージの着想のヒントを持つドローイング作品を一堂に展示し、南桂子の世界の全貌をご紹介します。
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