光と闇から生まれるマニエル・ノワールの魅力 ―浜口陽三のモノクローム作品を中心として― 2003年4月26日(土)~8月3日(日)

光と闇から生まれるマニエル・ノワールの魅力

展示作品より ミュージアムトーク 銅版画体験教室
 浜口陽三は、1953年に再度パリに移住した頃から、マニエル・ノワール(黒の技法という意味のフランス語で、メゾチントはその代表的一技法)に魅せられ、19世紀に発明された石版画や写真製版の登場によって忘れ去られたこの技法を、自らの開拓によって蘇らせ、透明感のある美しいモノクロームの世界を生み出しました。
 マニエル・ノワール作品の黒色は、銅版に刻まれた無数の点の集積が紙に刷られて黒い微粒子の集まりとなります。銅版への刻みによって黒色から白色への多階調の表現が可能になり、光と闇をつくり出します。浜口の光は、黒い闇の内部からにじみ出てくるもので“微光”といわれています。これが作品画面の造形要素となり、立体的な空間性を生み出しているのです。
 カラーメゾチントの開拓者として知られる浜口ですが、生涯を通して「白と黒-光と闇」で制作されたモノクローム・メゾチント作品を数多く遺しています。なかでも、1957年にサンパウロ・ビエンナーレ版画大賞受賞、 同年の東京国際版画ビエンナーレ国内大賞受賞、1961年リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞など50年代後半から60年代にかけて様々な賞に輝いた作品のほとんどがモノクロームの作品でした。
今回の企画展示では、浜口陽三がマニエル・ノワールを模索し結実させ、独自の世界を築き上げた作品を一挙にご紹介します。
ミュージアムトーク
■5月23日(金)18:00-19:30
『写真家 細江 英公が語るモノクロームの世界』
講師 : 細江 英公 (写真家)
会 

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 1階

定 員 80名(先着順)
参加費 500円+入館料 (お茶とお菓子付き)
申込み

Tel、Fax、E-mailで受付。
住所、氏名、連絡先、人数をお知らせ下さい。
Tel.03-3665-0251
Fax.03-3665-0257
E-mail:musee@yamasa.com

講師プロフィール
■細江 英公(ほそえ・えいこう)
肉体をモチーフにした耽美な写真表現で革新的な作品を発表し続けてきた、日本を代表する写真家。1933年 山形県米沢市生まれ。
幼年期より東京で育つ。1956年 第1回個展「東京のアメリカ娘」を小西六フォトギャラリー(東京)にて開催。
1960年 第2回個展「おとこと女」を小西六フォトギャラリー(東京)にて開催。日本写真批評家協会新人賞受賞。
1963年 写真集『薔薇刑』出版、日本写真批評家協会作家賞以後、国内および海外で、個展、グループ展多数。
1998年 紫綬褒章受章。2000年から2003年まで、回顧展「細江英公の写真1950-2000」が、国内の美術館を巡回、
2003年4月26日から10月5日まで清里フォトアートミュージアムで開催。現在 社団法人日本写真家協会副会長、
日本写真芸術学会副会長、清里フォトアートミュージアム館長。


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