イベント情報 | |
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日時 | 2024年1月27日(土) |
参加費 | 無料(入館料のみ) |
1/27(土)に開催した読書会は、沢山の話題で会場が盛り上がりました。その一部を紹介します。テーマは、イギリスの作家、モンタギュー・ローズ・ジェイムズ(1862-1936)の怪談『銅版画』です。
~ワセダミステリ・クラブ~
ミステリ・SF・ファンタジー・幻想文学・怪奇小説などを中心とする、早稲田大学公認の総合文芸サークル。1957 年に江戸川乱歩を顧問に迎えて発足し、翌年1958 年より会誌『Phoenix』の発行を始める。北村薫をはじめとする
小説家、評論家、編集者を多数輩出している。
ゲスト 銅版画家 山城有未さん
***1 W:ワセダミステリ・クラブ P:一般参加の皆様 W○) 恥ずかしながらメゾチントのこと、全く知らなかったので、最初に思い描いていた(小説の中の)銅版画とは、印象がぼんやり変わってきたなって感じでしたね。 W★) 最初はどういう絵だと思いましたか? W○) 結構、彫刻刀で削った版画みたいな。 W★) 線で描いたみたいな? W○) そうですね。それこそ針とかで削っていたイメージが結構あって。(絵の中の人物は)直線的でくっきりした人物像なのかな、と何となく思っていたら、メゾチントを知って、ちょっと違うんじゃないかなと思いましたね。 W△) 私も荒い感じの絵なのかなと思っていたので。今ここに来て、展示を見て、その光の描き方とか物の描き方とか。結構はっきり表現できる技法なんだなと思って。それを分かった上でこの話を振り返ると、人影が屋敷の方に這ってくるの、めちゃめちゃ怖いなって思いながら読んでいました。 W△) この時代も良い感じで。最初に言ってたように、写真の代わりに使われていたって。地下のメゾチントに浜口さん以外のちょっと古い時代の、カラーじゃない白黒のメゾチントが飾ってあって。多分あれのイメージ。私はここに来て、「銅版画」ってあのイメージなんだろうなと思ったんですけど。それもすごい、かなり写実的というか、結構くっきりして。新聞に載っている写真のようなイメージだったんだなってかたちになって。そうやって見ると、このくっきりしたあの写真っぽい風景にやっぱり人がこう出てくることの臨場感・・・。 W△)メゾチントがそもそも全体が黒から始まっていて、白に黒を入れるんじゃなくて、黒に白を入れることで物を描くっていうのは、黒いものというか、光では描けないものを、逆にだからこそ光は描けたんだと思うんですけど、だからこの小説が成り立ったのかなと思います。 W○) 銅版画が動くのと、心霊写真が動くのとではまたイメージがちょっと変わってくるような気がしますよね。 絵が動くみたいなホラーの想像力って結構、もしかしたらこの作品が初めてかもしれないけど、割とたくさんホラーを、そんなに詳しくない人でも何かこういう話見たことあるって。 W★) ある。学校の七不思議みたいな感じですよね。 |
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***2 山城) メゾチントが選ばれたっていうのは何となくわかるなっていう感じ。 P) 同じ銅版画の中でもメゾチント? 山城) 特殊なんですよね、やっぱり大変な作業を挟むので。ぱきっとした白をガリッて出すのは簡単なんですけど。ぼんやりした表現は、ぼんやりするまでずっと同じところを、ぼんやり細かくもう描いてく、彫っていく作業だから、魂半分入っちゃっても仕方ないよねみたいな。すごい人になると、刷った作品を見せても、「これは刷ったときに、気持ちが入ってないよね」とか、「この絵のことを考えて刷ってないよね」とか言われるんですよ。でも本当にその通りで。今はね、デジタルが多いですけど、そういう紙媒体とか物質媒体ものって、何かしらの、その作者の何かが移るっていうのは、きっとあるんだろうなって。 P) 精神性が? 山城) 精神性というか、人間は全部波動で出来てるとか言いますけど、それがちょっとメゾチント画にひっついちゃうことはあるだろうなとは思いますね。絵が動いても不思議じゃない。 W★) すごい怖くなってきた。 *** P)もしかしたらこれ読んでて、江戸川乱歩とかすごい影響を受けたじゃないかなぁって。『押絵と旅する男』とか、みなさんの方がご存知だと思うんですけど、 W★) 多分それに近い。押絵を覗き込んでいたら、絵の中が動き出したり、語りかけられるようになって、最終的に押絵の中に彼もまた・・みたいな感じで終わっちゃう。 P) こっちの時代が先なんだよね。 山城) メゾチントって、他の版画よりも画面とその見る人の距離が近いもの。 W★) さっきちょっとびっくりしました。 |