2月10日に行われた読書会のテーマは塚本邦雄の『七星天道虫』です。浜口陽三の作品に寄せて作られた8つの瞬篇小説から成ります。当日は、塚本邦雄の御子息であり、歴史小説家の塚本靑史氏が特別ゲストとして参加くださいました。会話から、歌人であり作家である塚本邦雄の制作に関する姿勢も浮かび上がりました。ほんの一部を紹介します。
~ワセダミステリ・クラブ~
ミステリ・SF・ファンタジー・幻想文学・怪奇小説などを中心とする、早稲田大学公認の総合文芸サークル。1957 年に江戸川乱歩を顧問に迎えて発足し、翌年1958 年より会誌『Phoenix』の発行を始める。北村薫をはじめとする小説家、評論家、編集者を多数輩出している。
特別ゲスト:歴史小説家 塚本靑史氏
実演: 銅版画家 杢谷圭章さん
(W1) 病気というと、印象的なのが「薔薇色葡萄月」の章の胞状奇胎でした。個人的に僕も浜口陽三のぶどうを観たときに「あ、塚本邦雄は僕と同じことを感じ取っている」と思う部分がありました。ぶどうの実が、能動的にぶつぶつっぽく描かれている。くっつき過ぎている。この絵から病的な連想をして、こういうお話ができたのかなと思いました。ただ、そうかと思えば桜桃の話とかはおじいちゃんの若いころの思い出みたいなのもあって。それで実際に絵を観てみると(浜口陽三の)さくらんぼがかわいい。塚本邦雄の多面性と、浜口陽三の多面性みたいなところが、一連に見れると思います。 (W2) この小説、三十一文字で説明するしかないような気がするんですけど。単語が7文字とかで区切って使われていて、全集の解説文にもあったと思うのですけど 木へんの柘榴と石の石榴とかがあったりして 手触り、視覚情報、体言止め…。塚本邦雄先生がどんな思いで三十一文字をなさっていたか、お教えいただけますでしょうか (塚本靑史) 体言止めという話が出ましたが、これは短歌をやっていたからだと思います。歌人の小説です。 |
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会のはじめに、銅版画家・杢谷圭章氏によるメゾチントの目立ての実演がありました。 |