イベント情報 | |
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講演 | 柏倉康夫(放送大学名誉教授) |
ソプラノ | 柴田卯美(武蔵野音楽大学声楽科卒業) |
ピアノ | 酒向紗弓(武蔵野音楽大学ピアノ科卒業) |
日時 | 10月16日(日) 14:00~17:00 |
定員 | 60名 |
参加費 | 1000円(入館料含む) |
20世紀初頭、フランスでは日本の短詩(和歌や俳句)への関心が高まり、それをもとにした音楽も生まれました。今回の演奏会ではそのひとつ、国内で見つかった幻の歌曲を紹介します。
万葉集や俳句の翻訳をテクストとした作品で、作曲家はフォーレの流れを汲みます。はじめにミゴの音楽と日仏文化の相互交流について、フランス文学者の柏倉氏にお話いただきます。浜口陽三の絵画と文学と音楽のハーモニーです。
20世紀初頭、フランスでは日本の短詩(和歌や俳句)への関心が高まり、それに基づいた音楽が生まれました。
今回のイベントでは、そのひとつ、国内で楽譜が見つかった幻の歌曲を紹介します。
万葉集や俳句をテクストとした作品で、ミゴはフォーレの流れを汲む作曲家です。
放送大学名誉教授でフランス文学者の柏倉康夫先生にお話いただきました。
先生はNHK特派員として7年間パリに滞在され、当時パリ住まいだった浜口陽三と交流を持ちました。
お話は二部構成で、絵から文学と音楽へ展開しました。その一部を紹介します。
Ⅰ シルクスクリーンによる《虹とエッフェル塔》の制作 『日々ぐるぐる 静物と30の「ことば」』と題された今回の展覧会は、浜口さんの70点余りの作品と、思ってもみない詩や文章の一節の組み合わせが素敵な空間をつくりだしています。こんな素敵な会場で、少しお話をさせていただきます。 |
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Ⅱ フランスの作曲家、ジョルジュ・ミゴの歌曲「日本の7つの小さなイメージ」 今回の展覧会は浜口さんの作品と詩や言葉のハーモニーがテーマですが、今日はこれに音楽をつけ加えたいと思います。浜口さんはパリで日本的な美意識に貫かれた作品を開花されましたが、これから紹介するのは、日本をテーマにつくられたフランスの作曲家ジョルジュ・ミゴの作品「日本の7つの小さなイメージ」という歌曲です。ミゴに関心を持ったきっかけは、岐阜・関市図書館に楽譜のコピーがあり、関生まれの江戸時代の俳人、広瀬惟然の句がフランス語訳されて曲がつけられていたことでした。知人の館長から、ミゴとは誰か、なぜ惟然の句が入っているのか、そもそもどんな経緯だと考えられるか、という問い合わせがありました。 「ジャポニズム」という言葉をご存知でしょうが、19世紀末のフランスでは、日本の浮世絵などが美術の上で大きな影響をあたえ、それをきっかけにして、様々な分野で一種のニッポンブームが起りました。それは他の文化活動へも波及し、音楽の世界でも美術品や文学に触発されて、多くの作曲家たちが直接間接に日本にまつわる作品を創作しています。松本太郎氏の「フランス音楽界に現われた日本」という論文では、アンドレ・メサジェールの《お菊夫人》(MESSAGER, André: Madame Chrysanthème) にはじまり、70余りの作品が列挙されています。しかもそのうちの9つは、日本の短歌や俳句の翻訳をテクストにした作品で、ミゴの《日本の7つの小さなイメージ》もその一つなのです。 「時雨けり 走入りけり 晴れにけり」が、 L’averse est venue, と訳されています。 問題はミゴがこれらの翻訳をどこで知ったか、出展は何かということです。ミゴの作曲が1917年ということから、それが1910年にパリで刊行されたミシェル・ルヴォンの”Anthologie de la litterature japonaise, des origines aux XXe siècle”(Librairie Delagrave、1910)、『日本文学選集、起源から20世紀まで』(ドラグラーヴ書店刊、1910年刊)ではないかと見当をつけました。 IZEMMBO(惟然坊) L’averse est venue; とあって、惟然の句の注に、「彼もまたその習俗(裕福で、放浪のうちに人生を送った)や詩句の点で独特の詩人である。そしてその思想を、出きる限り少ない言葉で表現することにこだわった。その例がここに引用した句である」として、日本語の句を、 Shigure kéri とローマ字で引用しています。 ルヴォンも述べているように、広瀬惟然は慶安元年(1648年)に、美濃国(現在の関市)の酒造家の三男として生まれ、14歳で名古屋の商家、藤木屋へ養子に入りました。しかし貞享3年(1686年)、39歳のとき妻子を捨てて関へ戻り出家しました。その2年後の貞享5年、松尾芭蕉が「笈の小文」の旅を終えて、岐阜に逗留した折に出会って門下となり、翌年、「奥の細道」の旅を終えた芭蕉を大垣に訪ね、その後は関西に滞在して芭蕉に近侍し、晩年は美濃に戻って暮らした人です。 |
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※このあと、柏倉先生の紹介でソプラノ歌手の柴田卯美様、ピアノの酒向紗弓様が登場し、演奏会が始まりました。15分ほどの歌曲のあとも、演奏者お二人のアイデアにより、フォーレの「月の光」、詩人ジャック・プレヴェールの「お勘定」、西條八十の詞による「お菓子と娘」、サトウハチロウ作詞の「とんとんともだち」などサプライズが続き、 |
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