イベント情報 | |
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講師 | 柏倉康夫(フランス文学者) |
日時 | 2012年10 月6 日(土) |
会場 | ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション1F |
参加費 | 800 円(入館料込) |
定員 | 60名 |
申込み | 9 月15 日(土)11:00 ~お電話にて受付 |
記念講演 『パリで取材した芸術家たち』
本展覧会で初公開するインタビューを編集された、フランス文学者・柏倉康夫先生をお招きします。
内容は、NHK特派員として7年間パリに滞在し、
美術の潮流の中に身を置いた柏倉氏ならではの珠玉のエピソードです。
――銅版画家・浜口陽三との交流、
ピカソの《ゲルニカ》をめぐる取材、
写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンにまつわるお話――
輝かしい芸術の都が鮮やかに甦ります。
銅版画を愛好する方はもちろん、広く20世紀美術全般に興味をお持ちの方も、お気軽にご参加ください。
講師:柏倉康夫(かしわくら・やすお)
1939年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。
NHK解説主幹。京都大学大学院文学研究科教授を経て、放送大学教授・副学長・付属図書館長。
現在同大学名誉教授。京都大学博士(文学)。フランス共和国国家功労勲章シュバリエを叙勲。
主な著訳書に、『生成するマラルメ』(青土社、2005年)、『評伝 堀口九萬一』(左右社、2009年)、
『評伝 梶井基次郎―視ること、それはもうなにかなのだ』(左右社、2010年)、『思い出しておくれ、
幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール』(左右社、2011年)、ジャン=リュック・ステンメッツ
『マラルメ伝―絶対と日々』(共訳、筑摩書房、2004年)など。
10月6日、柏倉康夫先生による講演会を開催しました。
言葉がそのまま映像になるような語り口に、20世紀にパリに生きた芸術家の姿勢や作品が、当時の空気さながらに甦り、
モンタージュ映画を見ているような午後でした。
もりだくさんな内容から、ほんの一部を紹介いたします。
浜口さんは、戦後になってもう1度フランスにいかれました。そこで、まったくの偶然から貴重な出会いがありました。パリに着くとすぐ、戦前住んでいたモンパルナスに宿をとり、荷物を置くと、昔懐かしい街へ出かけていきました。「クポール」という魚料理のおいしい、有名なレストランで食事をするためです。 |
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銅版画という技術は、ヨーロッパでは歴史的な伝統があるわけですが、かつては絵の複製や本の挿絵などに用いられるのが主で、独立した作品となるのはそれほど昔のことではありません。もっともレンブラントなどは油絵の大作以外にも、沢山の銅版画をつくっておりますけれども‥ |
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もう一人、お話したい人がいます。浜口さんと対談した直後に、2度目の駐在のためにパリへ行ったのですが、そのときに出会ったアンリ・カルティエ=ブレッソンという写真家です。 1988年12月、カルティエ・ブレッソンから自宅で会ってもいい、という連絡が参りました。リヴォリ通りのアパルトマンの呼び鈴を押します、背の高い人がドアを開けてくれました。それがカルティエ=ブレッソン本人でした。 しかしそれから11年後の1999年に、カルティエ=ブレッソンからNHKで番組をつくってもよいという話があり、インタビュアー役をすることになりました。懐かしいリヴォリ通りの家にいきますと、自宅の1階上に事務所があり、彼はそこでインタビューを受けてくれました。目の前に、それまで撮った写真や、当時専念していたデッサンなどが用意されていました。 |
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浜口さんも、まさにそうした信念の持ち主だったと思います。創作の上で、あるいは実生活の上で、自由であるということをとっても大切になさっていたと思います。 -------------------------------- 2012年10月6日 会場:ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション |