イベント情報 | |
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日時 | 2009年10月4日(日) 13:00~14:00 |
出演 | 準大賞: 小林 美佐子(コバヤシ・ミサコ) |
会期中、3回にわたり入賞者によるアーティスト・トークが行われました。
中には「トークなんて初めてで、何を話せば・・・」と緊張する作家さんもいましたが、展示してある作品の目の前でお話いただいたので、
制作の様子や作品にかける情熱などがリアルに伝わってくるトークになりました。その様子を一部紹介いたします。
2回目は、準大賞の小林 美佐子さん、入賞の鈴木 朝潮さん、金 昭希さんです。
準大賞: 小林 美佐子(コバヤシ・ミサコ) 【日本】 ●制作のテーマ ●入賞作品について 〔遊〕という作品は、止まっている時間と流れている時間を1つの画面に閉じ込めたいと考えて制作しました。西洋画より日本画の方が時間感覚=止まっている時間、動いてる時間=というのが明確に表れている作品が多いと思い、参考にしました。描かないところに時間が流れる…という日本人独自の文化を意識して構図を考えて作りました。屏風絵や襖絵のような、間がありながらも絵は終わらず次の画面から時間がはじまるというのを銅版画でやりたいと思って制作しました。 |
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モチーフとして基本的に花や植物や虫は共通して描いています。よくなぜ虫なのか?と聞かれるんですが、ただ虫が好きだからかいてるわけではありません。自分の中の感情の動きがあったとき、怒ったり興奮しているときに胸の中に虫が溜まっている、動いている感覚が昔からあったので、そういう気持ちを表現しやすいし構図が浮かびやすいので使っています。花というのも、有機的なもので工業製品には無い、朽ちてしまう、腐ってしまう、そういうものにとても惹かれるので使っています。 |
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●カタログのコメントには「銅版画は私の心のイメージを素直にあらわしてくれる技法」とありますね |
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入賞: 鈴木 朝潮(スズキ・トモミ) 【日本】 ●一般的な版画表現、版とは何か この美術館では浜口さんの作品と版を併せて展示していますが、これは珍しいことですね。だいたい作家は版を見せるのを嫌がる人が非常に多いです。 |
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日本人は小学校で木版や芋版はやるので凸版はわかる。つまり、でっぱっているところにインクがついてそれを紙でとる。ところが銅版画のような凹版はなんでへこんでいるのに絵柄がうつるのか?さっき触ってもらった版のザラザラしたデコボコのへこみ部分にインクを詰めます。でっぱり部分は寒冷紗(カンレイシャ)という硬いガーゼでおおまかにふき取って、最後にロール紙や手の甲を使います。 |
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●(お客さまより質問)パソコン処理をした画像を版にする際はどのようにしているのですか? ●今後はどんな活動をされていきますか? |
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入賞: 金 昭希(キム・ソヒ) 【韓国】 ●入賞作品について 〔A crazy bus〕という作品は、韓国のバスは運転が乱暴な方が多く、満員バスの時は波のように人の揺れ動く勢いに巻き込まれるんですよね。毎日出勤や通学するので、乗らないわけにはいかない、避けられないなら楽しめ、という気持ちでこの作品を制作しました。作品の中の黒いけむりみたいなのは、人から出てる体臭だとか、熱気とか、服から出るホコリのような感覚にしようと、ひとつひとつ短い線でずうっと描いたものなんです。揺れ動くバスはタンスの引き出しに比喩して、ユーモアな感覚を持って表現しました。 〔Slavery〕という、この作品はコメント必要ないと思います。見たらすぐ分かると思いますので、じっくり鑑賞していただけたらと思います。 こちらの作品〔Elevator〕は、日本に来てから覚えた単語で「缶詰状態」っていうのがありまして、人がいっぱいのっているエレベーターの、その他人と密封された空間にいるとても気まずい状態がまさに缶詰状態じゃないかなと思い、エレベーターを缶詰にしてみました。 |
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●このようなテーマをもったきっかけは? ●作風は全く違いますが、日常の風景を独自のユーモアを加えて再解釈するという点でコンセプトやテーマ性が共通していると感じたのが大賞を受賞された林さんですが、同じ出身国で、同年代の作家ということで、何か共感する部分はありますか? |
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●なぜ大学卒業の後、版画を学ぶ場として日本を選びましたか? ●今後どのように制作していきたいですか? |