2012年秋の企画展 浜口陽三の世界 2012年9月15日(土)~12月24日(月)

―幻のインタビュー初公開―

この秋の展覧会では、国際的に活躍した銅版画家、浜口陽三の幻のインタビューを初公開します。インタビュアーはNHK特派員として7年間パリに住み、作家と交流のあったフランス文学者、柏倉康夫氏です。時は1987年、新天地サンフランシスコで制作意欲をもやす浜口陽三が、柏倉氏の質問に導かれて、作品と人生について振り返ります。

談笑のうちに行われたこの回顧録風のインタビューは、知られざる作家の世界観を垣間見せてくれます。特に作品の解説場面では、独自のカラーメゾチント技法を確立した後も、作品ごとに新しい表現を追求してやまなかった浜口の柔軟な姿勢が、ごく自然に語られています。この対談を読んだ後では、銅版画作品が一味違って見えてくるかもしれません。この他、アメリカの詩人カミングスとの親交や、画商ベルグリューンとの出会いなど、国際都市パリを舞台に活躍した版画家ならではのエピソードも紹介されています。

四半世紀を経て発表するにあたり、柏倉氏に新たな注釈をつけていただきました。会場では、抜粋したパネルと共に銅版画作品約50点と、関連資料を展示します。対談の全文は、用意したパソコンでご覧いただけます。
会話からただようパリの自由な空気と共に、静謐な作品の数々をご鑑賞ください。

 

〔編者紹介〕
柏倉康夫(かしわくら・やすお)
1939年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。NHK解説主幹。京都大学大学院文学研究科教授を経て、放送大学教授・副学長・付属図書館長。現在同大学名誉教授。京都大学博士(文学)。フランス共和国国家功労勲章シュバリエを叙勲。
主な著訳書に、『生成するマラルメ』(青土社、2005年)、『評伝 堀口九萬一』(左右社、2009年)、『評伝 梶井基次郎―視ること、それはもうなにかなのだ』(左右社、2010年)、『思い出しておくれ、幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール』(左右社、2011年)、ジャン=リュック・ステンメッツ『マラルメ伝―絶対と日々』(共訳、筑摩書房、2004年)など

黒いさくらんぼ 1956年


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