展覧会情報 | |
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Date | 2015年10月10日(土)~2016年1月24日(日) |
Date |
月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館) |
Opening times | 平日11:00~17:00 土日祝10:00~17:00 |
Entrance fee | 大人600円 大学・高校生400円 中学生以下無料 |
ごあいさつ
人物ポートレートやライフワーク「花」をはじめ、独特の叙情的作風で写真界の第一線で活躍した秋山庄太郎(1920‒2003)。同氏は40歳の年、順風満帆だった仕事を整理し、ヨーロッパ外遊に出かける決意をします。そして1960年2月からの4ヵ月間、行く先々で風景や芸術家の肖像などをフィルムにおさめました。美しきものを写しとめる、という独自の美学に基づいた写真には一瞬のドラマがあり、被写体も風も光もまるでその1シーンのために存在するかのようです。
銅版画家・浜口陽三(1909‒2000)はパリで巨匠の名声をほしいままにし、この年はヴェネチア・ビエンナーレの日本代表作家の一人に選出されていました。秋山氏は、パリに着いた翌々日に浜口を訪ね、その後もたびたび行動を共にしました。外遊中に撮影されたフィルムには、浜口の刷り場やアトリエ、版画家・スタンレー・ウィリアム・ヘイターと議論する様子、ビエンナーレに沸くヴェネチアの街角が写っています。
本展では、秋山庄太郎写真芸術館の全面的な協力を得て、残されたフィルムから、パリやヴェネチアの写真、資料など50点ほどを紹介いたします(前後期で展示替)。多くが初公開です。浜口陽三の銅版画については、秋山氏が所蔵していた中より特にお気に入りだったという「4つのさくらんぼ」を含む3点と、ヴェネチア・ビエンナーレ出品作を中心に約30点を展示いたします。
秋山庄太郎の目を通した陽気で輝かしい芸術の都を、浜口陽三の銅版画と共にご鑑賞ください。
―浜口陽三先生のメゾチント作品は、私の静物写真への傾斜に深い係わりがある。沈潜した画面の奥に煌めくような光沢が実に美しい。私は若い頃から黒の多く占める作調に拘り続けていて、それがポートレート作品にも表現するようになったのは、パリで浜口芸術に触れたことに無縁ではない、そう思っている。― 秋山庄太郎 1985年7月(『現代日本の作家たち』サン・アート、1990年、所収)