今回のみきを巡る旅では、みきにまつわる素敵なお話にたくさん出会うことができました。奄美の人々のたちによって、豊かに育まれたみきの姿とそのおもいを、少しずつではありますが、ご紹介いたします!
シマの味を、ありのままに
あらば食堂では、「シマの食文化を伝える」をコンセプトに、荒波地区のおっかん(お母さん)が地元でとれた旬の食材を生かしたシマ料理を提供しています。
観光でいらっしゃる方が多いので、あえてあまり発酵が進んでいないみきをお出ししています。みきにも多様性があって、お砂糖を控えてサツマイモの量を増やす方や、サラサラさせたり、わざとねっとりさせたり、家庭によって違うんです。
おっかんの笑顔と美味しい手料理が迎えてくれます。
奥がプレーンのみきで、手前が黒糖入りみき。実際にご家庭で作られているみきを体感できました。
このあたりは龍郷町の秋名集落というのですが、地域行事が盛んで相撲の時期になると大きい釜で炊いて、一升瓶に詰めたみきをまわしを付けた人たちが歩いて配っていました。重要無形民俗文化財にもなっているアラセツ行事が開催されるのですが、その時にもみきをお供えするんです。
奄美大島に来た時にはぜひお立ち寄りくださいね!昔ながらのシマ料理をお楽しみいただけます!
母から代々受け継いできたみきを忠実に再現
赤木名という集落で、「赤木名ミキ」という名前のみきを製造されている恵さん。手作りにこだわり、自分の畑でサツマイモを栽培したり、道具を手作りしたりして伝統の製法を守っています。
ご夫婦、二人三脚でみきづくりをされています。
おじいちゃんお手製のヘラ。愛情がこもっています。
ヤマサ醤油のみきを試飲してもらいました。『とてもすっきりしていますね。私たちの「赤木名ミキ」とはずいぶん違います。でも、すいすいと飲めるから、夏の暑いときには美味しいかもね!』
時折、真剣な眼差しでみきへのおもいを語ってくれました。
「私たちにとってみきといえば、私がつくるこのどろっとしたみきになります。子供のころからずーっとこれだけを飲んでいますから。でも、これからの若い人向けにはいいかもしれませんね。」
そして最後に、みきを未来につなげたいというおもいは私たちと一緒だねと笑顔で語ってくれました。
手作りへのこだわり
わたしたち「味の郷かさり」は、女性たちで起業したグループで、地場の農作物や水産物を加工・販売を通じ、『奄美大島の食文化の継承』を目指しています。地場で取れた農作物の加工などしているのですが、みきも作っていて、ススモ味やパッション味のみきにも挑戦したりもしています。
料理は「手加減」だとよく話しているんですが、ここの良さは、すべて手で作っているところだと考えています。もちろん私たちが作っているみきも手作りなのですが、季節や天気も違いますし、毎回同じ人が作っているわけではないので、火加減や食材の配合が微妙に変わってきます。
発酵時間によって味がどんどん変わっていくところも、みきの面白さですよね。
スモモやパッションフルーツをプラスした、
とっても飲みやすくて、おいしいみきでした。
「先日は醤油作りにもチャレンジしたんですよ。」
芳しい醤油麹の香りが。美味しくなる予感がします!
伝統的な食べ物や飲み物はずっと
残っていてもらいたい
今の人たちは、みきを飲みはするけど、作り方は知らないと思います。家でも作らなくなってきましたしね。私たちは奄美大島の食文化を次世代につなぐ役割を担っていると考えています。
だから、こうしてこの場所で、昔ながらの手作りの味を提供しているのですが、私たちにとっては、『この島の文化を次世代にどうやって繋いでいくのか?』というのが一番の悩みですね。