SDGsへの関心が高まる今、飲食業界で大きな注目を集めている「PLANT BASED MEAT」。通称「PBM」は植物由来の代替肉として、食糧不足の解消や地球環境の改善といった、SDGsにおける様々な課題をクリアにする可能性を秘めています。そんなPBM活用の旗振り役として飲食業界に新たな風を吹かせているのが「The Vegetarian Butcher」です。
肉好きを魅了する本格的な味わいで
“ベジタリアンのための食事”という概念を覆す
2020年8月にオープンした同店は、世界45ヵ国で展開されているオランダ発のPBMブランドの実店舗として、PBMをはじめとした地球に優しい食材を使用した料理で、若い世代を中心に注目を集めています。株式会社ベジタリアンブッチャージャパンのCEOを務める村谷幸彦さんは、「PBMを使った料理は、『ベジタリアンやヴィーガンのための食事』といった印象を持たれがちですが、私たちはむしろ肉好きの人を満足させるメニューづくりを行っています」と語ります。
パスタやピザ、ハンバーガーなどの多彩なメニューを展開するなか、特に高い支持を得ているのが「一石三鳥テリマヨバーガー」。地球に優しく、身体にも優しく、そしておいしさで心を豊かにすることから“一石三鳥”と名付けられたこのキラーメニュー、主役はもちろんPBMです。牛赤身肉のようなしっかりとした食感を楽しめるプラントベースミンチと、皮の食感やもも肉の柔らかさを忠実に再現したチキンチャンクの2種類を使うことで、奥深い味わいを生み出しています。
表面のカリッと感と香ばしさ、噛みしめた時のジューシーさは、代替肉とは思えない驚きの完成度。村谷さんいわく「本物の肉らしさを表現できるのは、乾燥タイプではなく冷凍タイプのPBMを使っているからです。調理の際も、動物性の肉と全く同じ調理方法で扱えます」とのこと。最先端のPBMは、特別な調理方法やテクニックを使わなくともおいしく仕上がる段階まで進化しています。
譲れないのは
ものづくりへのこだわり
同店が力を入れているのはPBMだけではありません。店内では「アーバンファーミング」としてロメインレタスやパセリなどを栽培するほか、一部のメニューに使われている卵や乳製品も、平飼い卵や放牧で飼育されている牛のミルクを使用。その食材への熱い思いは日本伝統のあの調味料にも。「プラントベースミンチの味付けの醤油には、ヤマサを使っています。PBMとの相性が良く汎用性が高いのはもちろんですが、長い歴史の中で、ぶれずにものづくりにこだわり続けている点にシンパシーを感じたのも選んだ理由のひとつです」と村谷さんは語ります。
余った食材も有効活用
店舗全体でブランドメッセージを伝える
同店では、“持続可能な地球環境と社会を実現したい”というPBMブランドの思いを伝えることを目的に、食材や商品を無償で提供する「フードシェアリングフリッジ」を店内に設置しています。取引先からの試供品やデリバリーのキャンセル品など、商品として提供できないものはフードシェアリングフリッジへ。また、家庭でも代替肉を気軽に楽しんでもらえるようPBM商品単体での販売も行っており、店舗全体でブランドメッセージを発信しています。
今後の展望について、村谷さんは「様々な側面を持つSDGsの中で、このお店にできるのは“食”で貢献すること。そして、『ここで食事をすれば地球の未来に貢献できる』という場所をつくることです。現在は、食肉消費への固定概念を持っていないZ世代に向けてのアプローチを試行錯誤する日々。食の枠を飛び出して、若者に『サスティナブルな生活を送ることはかっこいい』と思ってもらえるようなアクションを起こしていきたいです」と語ります。“食べること”の常識を変える村谷さんの挑戦は、食だけに留まることなく、新たなライフスタイルを描いていきます。
【店舗紹介】
The Vegetarian Butcher
〒171-0021
東京都豊島区西池袋３-29-9 C3ビルB1F
11:30～16:00
17:00～20:00
※定休日は毎週火曜日
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業時間が変更になる場合がございます。詳しくは店舗へお問い合わせください。
https://r.gnavi.co.jp/be8d43af0000/
【村谷幸彦氏プロフィール】
1988年生まれ。山口県出身。都内の飲食店にて勤務した後に、アメリカに渡りホテルのサービスマンを経験。帰国後、焼肉店を経営する中でフードテックに関心を持ち、オランダのThe Vegetarian Butcherと日本での専売契約を結ぶ。2017年8月にベジタリアンブッチャージャパンを設立し、PBMの卸業務やネット販売を経て、2020年8月に池袋にて実店舗「The Vegetarian Butcher」をオープン。
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