「穴子豆腐、鼈甲餡(べっこうあん)、振り柚子、山葵、酢取茗荷」は、江戸料理の代表的食材である穴子を、醤油を効かせた伝統的な味付けにしたメニューで、普段の食事やお弁当のおかずとしても楽しめます。秋から冬にかけて脂がのってくる穴子の旨味が染み込んだふんわりとした豆腐と、しゃっきりと歯ざわりの良い牛蒡。さまざまな食材の持ち味が一体となって生まれるおいしさは、年代を問わず幅広い人に喜んでいただけます。
メインの食材となる穴子は、200g前後の中ぶりのサイズを選んでください。穴子は大きくなるにしたがい骨が太くなるため、骨まで柔らかく煮上げるためにも、料理に合った穴子選びが肝心です。メニューの味を決める煮汁には、穴子の旨味だけではなく、熊本県の地酒「赤酒」の旨味をプラス。赤酒は江戸時代の人々に親しまれていた上質なお酒です。穴子と赤酒が持つ旨味の相乗効果で、煮汁は一層深い味わいになります。また、食感にアクセントを加える牛蒡は、煮るタイミングに気を配りましょう。十分に煮詰まった煮汁に投入することで、牛蒡に煮汁が染み込み食感はしっかりと残ります。
穴子や豆腐、牛蒡といった個性が重なり合うため、おいしく仕上げるうえでのキーワードは「一体感」。そこで、持ち味を引き出しつつ食材同士を結び付けてくれるのがヤマサ醤油です。煮汁や豆腐の下味に使うことでそれぞれの食材に醤油の風味が行き渡るため、醤油が“つなぎ”の役割を果たし、すべての要素が自然に調和します。調理工程では、蒸し上げた後に十分に寝かせることが大切です。粗熱がとれる過程で穴子と豆腐がしっかりとくっつくため、切り口がきれいになります。江戸料理は見た目の美しさも大事な要素ですので、“待つ時間”も楽しみながら調理してみてください。
また、このメニューは温めても冷やしてもおいしく召し上がれます。その際、温度に応じて餡の濃さや固さをアレンジするのもおすすめです。蒸し直した穴子豆腐には、つゆに近いゆるりとした餡が良く合います。冷やしてしっとりとした食感を楽しみたい場合には、天つゆほどの味の濃さで固めの餡にしてみてはいかがでしょうか。
江戸料理人である私としては、東京では馴染み深い江戸料理をより多くの人に味わっていただきたいと思っています。受け継がれてきた繊細なおいしさを存分に感じられる今回の開発メニューが、日本全国の皆さんと江戸料理を結ぶ“架け橋”となり、日常に江戸前の風を吹かせることができればうれしいですね。
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