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注目店のキラーメニュー スブリデオ レストラーレ

 
恵比寿の一角にあるチーズ料理の専門店「スブリデオ レストラーレ」。“チーズグルメ”が巷を席巻し、恵比寿においてもチーズ料理が自慢の飲食店が生まれるなか、2012年からチーズ一筋で突きつめてきた同店は、名店にして異色の存在です。
 

 
「僕自身、チーズが大好きなんです」と朗らかに話すのはオーナーシェフ・吉田健志さん。その言葉が物語るように、吉田さんが手がける料理にはチーズへの愛と料理人としての感性、そして飽くなき探求心が込められています。
 
「チーズをもっとカジュアルに」
既成概念を覆すキラーメニューに込められた“遊び心”

 
“上品に盛り付けられたワインのお供”。チーズには高級な嗜好品というイメージがありますが、吉田さんが生み出すチーズ料理には、そんな既成概念に一石を投じる親しみやすさが漂っています。「ヨーロッパ圏では当たり前のように生活に溶け込んでいるチーズが、日本では高級な食材として扱われています。しかしチーズは本来、気軽に楽しむべきもの。ヨーロッパを訪れた際に、チーズのある食卓で顔をほころばせる人たちを見て、『もっと日本でもカジュアルにチーズを楽しんでもらいたい』と思ったんです」。
 

 
その思いが色濃く映る「ベイビーバックリブ&フォンデュ―タソース」は、一年を通して人気を集める代表的メニュー。丹念に焼き上げた骨付きロース肉だけでもかなりのインパクトですが、その上にナッツを思わせる香りが特徴のフォンティーナチーズを使ったソースがたっぷりと乗ります。皿の上で相まみえる“剛”と“柔”。個性の異なる主役同士をつなぎ合せるのが、オレンジとバルサミコ酢が隠し味のオレンジトマトソースです。肉の旨味をチーズのとろっとした食感と風味が引き立てる厚みのある味わいながら、爽やかな余韻が心地よい逸品です。
 

 
メニュー誕生のきっかけは、ベイビーバックリブから骨がするっと抜ける動画を見て「楽しそう」と思ったことなのだとか。そんな吉田さんの遊び心が息づく“見て楽しく、食べて美味しい一品”が、お店を訪れる人々の笑顔を生み出しています。
 
チーズの故郷に思いを馳せ
唯一無二の一皿を生み出す

 
カリフォルニア料理をはじめ、イタリア料理や中国料理など様々なジャンルに精通し、いまやチーズ料理界の草分け的存在となった吉田さん。その道のりには、料理観をがらりと変えるターニングポイントがありました。アメリカでの実績と自信をたずさえ、銀座にあるイタリアンの名店で腕を振るうも納得できる結果につながらない日々。原点回帰、吉田さんはイタリア料理の真髄を一から学ぶべくピエモンテへと渡り、チーズをはじめとする食材の生産地へと足を運びました。「生産者の方々と顔を合わせて話をすることで、どれだけの思いを込めてチーズを作っているかを知り、胸が熱くなりました。『我が子のように育て上げたチーズを、私の料理で台無しにしてはならない』。その決意が、料理人としての土台になっています」。
 

 
その心得を胸に「スブリデオ レストラーレ」を開店した吉田さんは、メニューを開発する際には一貫してチーズの生産環境やその地域の郷土料理について研究。チーズはもちろん、取り巻く要素も深く理解したうえで、独自の感性をもとに生み出される料理は、『このチーズなくして、この料理成り立たず』と称するにふさわしい完成度を誇ります。
 

 
その緻密な計算が成せる業は、季節限定メニューでも味わうことができます。夏に旬を迎える北海道産バフンウニが主役の「雲丹の冷製カッペリーニ」には、数あるチーズの中でも特に雲丹と相性が良い3年熟成のゴーダチーズをセレクト。パスタソースと一緒に入念にかき混ぜることで、空気をふっくらとまとったパスタの上に、ゴーダチーズを“これでもか!”と贅沢にかけていく吉田さん。ほおばれば、雲丹と熟成チーズの芳醇な香りが涼やかに広がります。濃厚でありながら夏らしい軽やかさ。まさに新感覚の一皿に仕上げる吉田さんの技が光ります。
 

 
未知のチーズ、そして未踏の料理
先駆者の漫遊はこれからも続く

 
未曾有の事態に直面している飲食業界。「スブリデオ レストラーレ」では、新たな試みとしてテイクアウト対応に取り組んでいます。徹底するのは、家庭や職場でも限りなく出来たてに近いチーズ料理を味わってもらうための『予約制・来店時の最終仕上げ』です。「テイクアウトは新たなお客様の開拓につながっています。ただ、本心としてはやはりお店でベストな状態を味わってほしい。チーズを愛する皆さんで賑わう日が来ることを信じて、いまできることに挑戦していきたいです」と吉田さんは前を向きます。
 

 
世界で1000種類以上あるチーズは味も香りも千差万別で、知れば知るほど奥が深い世界。なかでも長期熟成のゴーダチーズは、味噌や醤油といった大豆発酵食品のような香りがあり、日本の料理と相性が良いそうです。こうしたチーズの様々な魅力を理解し、引き出してきた吉田さんは今後、日本やポルトガルのチーズを使った料理に挑戦していきたいとのこと。まだ日本での流通が少ないポルトガルのチーズですが、その品質の高さはチーズ通の間でも有名です。そんな“未開拓”が無数に存在するチーズの世界は、いまもなお吉田さんの好奇心を刺激しています。「チーズを通して、まだ知らない料理を勉強できることがとても楽しみです」と目を輝かせる吉田さん。ラテン語で、スブリデオは“笑顔”、レストラーレは“回復する”。チーズ料理界のトップランナーが作り出す驚きに満ちた逸品は、今日も、そしてこれからも恵比寿で笑顔を生み出していきます。
 
 
ボリュームたっぷりのフォンデュータソースで
本場のチーズを豪快に楽しむ

 
メニュー名:ベイビーバックリブ&フォンデュータソース
 

 
肉を煮込む際のビールや生ハムは、チーズに合わせてイタリア産を使用。3~4人で食べられる大皿なので、骨を抜きながらワイワイと会話を楽しめるのも魅力のひとつです。
 
①ビール、野菜、生ハム等でベイビーバックリブを約2時間煮込みます。
②ベイビーバックリブにオレンジトマトソースを塗って、210℃のオーブンで4分焼きます。
③再びオレンジトマトソースを塗り、4分焼きます。
④フォンデュータソースは、すりおろしたチーズを牛乳でふやかし、火にかけて溶かします。白ワインとコーンスターチを入れてとろみをつけ、にんにくと塩で味を整えて、卵黄を入れて仕上げます。
⑤焼き上がったベイビーバックリブの上にフォンデュータソースを乗せて5分焼き、イタリアンパセリと黒コショウを振りかけて完成です。
 

 
驚きの“ふわっと軽い口当たり”
芳醇な熟成チーズを夏らしく

 
メニュー名:雲丹の冷製カッペリーニ
 

 
風味を損なわない塩水ウニにこだわり、北海道産のバフンウニを使用しています。バフンウニの旬に合わせて提供される季節限定メニューのため、夏の到来を心待ちにするお客様も。
 
①先にパスタソースを作ります。バターでにんにくと練りウニを軽く炒め、風味付けに白ワインを垂らしてアルコールを飛ばしながら生クリーム、牛乳と混ぜ合わせます。それらをミキサーにかけて卵黄と混ぜ、鍋に戻してゆっくりととろみがつくまで煮たら、しっかりと冷まします。
②カッペリーニを2分半ゆで、ざるにあげて氷水で冷やします。
③カッペリーニとたっぷりのソースを、菜箸で1分間空気を含ませるようにかき混ぜます。
④皿に盛りつけ、チーズ、黒コショウ、バージンオイルをかけます。
⑤ウニをのせ、すりおろしたゴーダチーズをたっぷりとかけて、イタリアンパセリを散らせば完成です。
 

 
 
【店舗紹介】
スブリデオ レストラーレ
 

 
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿4-11-9 クオーレエビス 1F
〔火〜木〕11:30〜22:00(L.O.21:30)
〔金・土〕11:30〜23:00(L.O.22:30)
〔日〕11:30〜20:00(L.O.19:30)
※定休日は毎週月曜日と第1・第3火曜日
 
2021年12月4日より下記の新店舗へ移転いたしました

〒248-0016
神奈川県鎌倉市長谷2-3-30
Lunch 11:30~15:00(Lo 14:00)
Dinner 17:30~22:00
(Lo コース20:00 アラカルト21:00)​​​​
※​定休日は毎週月曜日&第1・3・5火曜日
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業時間が変更になる場合がございます。詳しくは店舗へお問い合わせください。
https://www.subrideo.info/
 
【吉田健志氏プロフィール】
 

 
1970年生まれ。東京・恵比寿出身。六本木のカルフォルニア料理店「スパゴ」で修業した後、97年にアメリカへ渡る。ロサンゼルス「スパゴ」、ラスベガス「シノア」で働き、99年に帰国。その後、イタリア料理店「ジャッジョーロ銀座」でスーシェフを任される。イタリア料理の知識を深めるべくチーズ専門店「フェルミエ」、イタリア・ピエモンテのアグリツーリズモで研修を受け、2012年11月にチーズ料理を看板とする酪農農家ビストロ「スブリデオ レストラーレ」を恵比寿にオープン。著書に、『酪農ビストロのとろけるチーズレシピ』。