English

【匠の皿 vol.2】「苺と醤油の冷製カッペリーニ」mon atelier 野﨑 翠シェフ

かつて修行したイタリアには「スローフード」というその土地の食文化を大切にする考えた方が根づいており、その経験から日本の食材・調味料を使った「日本ならではのイタリアン」を追求してきました。醤油を使ったメニューは未経験でしたが、イタリアンの新たな可能性を切り開きたいと思い、今回「苺と醤油の冷製カッペリーニ」を開発しました。
 


 
醤油は塩味・香りが魅力であり、風味付けといったアクセントとしての用途は色々あると思います。ただ、存在感があるゆえに主調味料として使う場合には、あらかじめ他の調味料とのバランスを考える必要があります。イタリアンとしての軸を保ちつつ、いかにして醤油の良さを際立たせられるか。そこでポイントになる調味料が「オリーブオイル」です。やさしい風味のタイプを使うことで醤油の塩味がまろやかになり、見事にイタリアンと醤油の“橋渡し役”となります。また、おいしく仕上げるうえでのもうひとつのポイントが、「苺」の扱い方。苺の甘味・酸味と、醤油の塩味のバランスが全体の味わいを形づくるので、しっかりと熟した苺を使っていただきたいです。苺のピューレづくりの下準備に用いる調理法・ヴァポーレについては、ご家庭では食品用ポリ袋に苺を入れて空気を抜いた状態で、水分が出てくるまで熱湯で茹でます。ミキサーにかける際は、都度苺の状態を確認しながら、果肉感のない滑らかなピューレに仕上げてください。カッペリーニは芯がない状態までしっかりと茹でましょう。氷水で締めたカッペリーニは苺のマリネ液と和えることで、パスタ同士がくっつくことを防げます。
 

 
召し上がる際には、料理全体をしっかりと混ぜ合わせてください。ここで醤油のジュレが役割を発揮。醤油の塩味が徐々に溶け出すジュレの特性が、食べる直前の一手間で料理が完成するという演出を担います。また、醤油はジュレにすることで塩味が一層まろやかになります。
 

 
「イタリアン×醤油」という未知の領域で、醤油とイタリアンの食材・調味料との相性を体感できたことは大きな自信になりました。別候補として開発したカルボナーラ風の冷製パスタも、牛乳の濃厚な味わいの中に醤油の塩味と香りが効いておいしかったです。今回、ヤマサ醤油を使って既成概念にとらわれないメニュー開発に挑戦しましたが、苺や牛乳といった個性的な食材の魅力を引き立てつつ醤油らしさもしっかりと印象づけられる点は、ヤマサ醤油の特長だと感じました。他にも牛ほほ肉の赤ワイン煮込みの香り付けや、マンゴーなどフルーツとの組み合わせなど、イタリアンの新たなメニューにつながるヒントをいくつか得られたので、これからも自身の感性を駆使したアプローチで醤油の活用法を追求していきたいです。
 
「苺と醤油の冷製カッペリーニ」のレシピはコチラから